ゴールドはシルバーより○○?素材ごとに異なるクロムハーツダイヤカスタムの裏側
メルマガバックナンバー第238号
クロムハーツのアクセサリーは
およそ次の3種の素材で作られています。
~~~~~~~~~~~~~~
◇シルバー925
◇22K イエローゴールド
◇18K ホワイトゴールド
~~~~~~~~~~~~~~
(※プラチナについては後述します)
もちろん、使われている地金が異なれば
それぞれ見た目の色や、価格も変わります。
しかし、我々ジュエリー職人にとっては
素材の差というのは、それだけではありません。
金属には、加工する者にしか分からない特性があります。
そして、カスタムをする際には
実は、その地金の種類によって、結構な違いを感じながら加工しているんです。
今回は、そんな職人目線の“貴金属あるある”を通して
カスタムの裏側をお届けします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇◆ゴールドとシルバーの差◆◇
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
まずはクロムハーツの2大人気素材
シルバー925と22Kゴールド。
皆様からご相談いただくお品は、ほぼこの2つのいずれかです。
この2つにダイヤをカスタムするとき
1番感じるのは、その“粘り(ねばり)”の違いです。
「金属に粘り?なんじゃそれ?」
と、お思いでしょうか?
結論から申しますと、22Kゴールドはシルバー925より
“粘り気があって、軟らかい”のです。
実際、かなりの差があります。
例えば、ダイヤを固定するための爪を起こすときなど、
その違いはハッキリと分かります。
画像を見ただけでは、このような違いは伝わらないと思いますが;
なんとなく想像してみてください。
↓形は同じですが、粘りが違います。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【キーパーリング シルバー925 ダイヤパヴェ】
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【キーパーリング 22Kゴールド ダイヤパヴェ】
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇◆選ばれる理由がある◆◇
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
シルバー925と22Kゴールドは
いずれも“合金(ごうきん)”です。
純銀や純金ではなく、それぞれ他の金属を混ぜてあるということです。
その混ぜている金属のことは“割り金(わりがね)”といいます。
2つとも、主に銅等が割り金となっており
そのおかげで、硬さ(強度)がUPしているのです。
シルバー925なら、銀92.5%、割り金7.5%。
22Kゴールドなら、金91.7%、割り金8.3%。
…といった具合です。
この割合の話は、事あるごとに書いていますので(笑)
なんとなく覚えておられる方も多いと思います。
ちなみに、もう1つの金合金である18K ホワイトゴールドは金75%、割り金25%です。
割り金の量が多い分、22Kゴールドやシルバー925よりも少し硬くなります。
(※割り金の種類が異なれば硬度も変わるため、絶対的なものではありません)
↓結構、硬い?18K WGの加工例です。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【スクロールバンドリング18Kホワイトゴールド サイズ直し】
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【ツイストチェーン18Kホワイトゴールド延長】
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇◆やわやわ過ぎると危険?◆◇
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
そもそも純銀と純金は、どちらも非常に軟らかい金属。
もし、純銀や純金のアクセサリーにダイヤを爪留めしても
爪が軟らかすぎて、じきに石がポロッと取れてしまうでしょう。
どうしても純銀 or 純金に宝石を入れたいなら
石の周囲を覆って留める“伏せ込み”などをするしかありません。
こう考えると、シルバー925と22Kゴールドは
どちらも非常にバランスのとれた良い素材なのです。
丸く美しい、タフな爪が作りやすいです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇◆カスタムの難度は?◆◇
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「で、粘りとか硬さの違いがあったとして
結局どっちのカスタムの方が難しいんだ?」
ここまで読んでくださった方は
こんな素朴な疑問を持たれたかもしれません。
難度という点から言えば、私石津の答えは…
「一緒」
です(笑)
粘りや硬度に違いはあれど、どちらも難しいのです。
(「なんや、変わらんのか~い」と総ツッコミされそうな気がしますが;)
ゴールドだから石留め激ムズ!みたいな感じではありません。
身をもって、それぞれの感触を覚えることが大事なのです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇◆憎き“ス”◆◇
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ちなみに、素材の軟らかさよりも
もっと他にカスタムの難度を左右する要素があります。
それは“ス(巣)”の存在。
これは、金属の中にある“小さな穴”のことです。
製品が作られる際の温度などによって
地金の内部に、ごく小さな空洞ができたりするんです。
例えば、もし爪を作りたい位置に“ス”があると
めっちゃ難儀します。
あるべきところに地金が存在しない、足りないというのは致命的。
その部分だけ、一手間かけて地金を盛るなどの対処をするしかありません。
まぁ、それで通常のカスタムより爪の強度は落ちます。
しかし、ご安心を。
クロムハーツは“ス”が少ないです。
カスタムに支障が出るくらいの“ス”に出くわすのは、ごく稀なことです。
さすが、クロムハーツ!と思いませんか?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇◆アメリカのプラチナ(白金)◆◇
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
さて、2023年現在のクロムハーツのプラチナ事情についても
少しシェアさせていただこうと思います。
プラチナのアイテムは正直、滅多にお目にかかりません。
直営店でも見かけないし、カスタムのご相談もほとんど無いです。
「LAの工房で、今も少しは製作されているのか?」
と疑問に思ったので、私石津は先日クロムハーツで尋ねてみました。
「ここ10年は、入ってきません。
20年くらい前まではあったんですけど」
こんな答えが返ってきました。
少なくとも日本国内の店舗には入荷の予定はないようです。
ただ、ウェディングバンドリングだけは
今もプラチナでオーダー可能とのこと。
やはり、マリッジリングにはプラチナを選ぶ方も多いのでしょう。
↓こちらは希少なプラチナ加工例です。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【キーパーリング プラチナ 内部刻印の修復】
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【タイニーファットクロスチャーム プラチナ ルビーパヴェ】
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
一般的に、プラチナも純度によって種類があります。
割り金にはパラジウムなどが使われます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◇Pt900…プラチナ90%、割り金10%
◇Pt950…プラチナ95%、割り金5%
◇Pt999…プラチナ99.9%
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(※現実的に純度100%の金属は存在しないためPt1000という表記はされません)
日本のプラチナ製品を入手された場合
上記のような“Pt900”などの刻印が確認できるでしょう。
ですが、プラチナのクロムハーツには
ただ“PLAT”という刻印が打たれています。
この表記は、海外製のジュエリーに多く見られます。
アメリカやヨーロッパでは
“プラチナ95%以上の場合はPLATを打てる”
というルールがあるんです。
ということで、クロムハーツが使っているプラチナはPt950。
“PLAT 2000”などと刻印してあるものは
“2000年にデザインしたモデルですよ”ということです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇◆手ごわいプラチナ◆◇
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
プラチナは一見シルバーと似ていますが
加工時の感覚は、これまた色々と事情が異なります。
まず、重い。シルバーの倍近い重量があります。
そして、Pt950はシルバー925より、少し硬度が高め。
それでも、プラチナも粘りがあるため、石はしっかり留まります。
しかし、カスタム屋にとっては
“彫り跡が光りにくい”という最大の難点があります。
いつもタガネで爪を作っていく際は
彫った面(光っている面)を確認しながら作業を進めます。
シルバーは光るので良いのですが
プラチナは光りにくいので、めっちゃ分かりにくいんです。
そのため、アフターダイヤの難度は上がってしまいます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇◆悲喜こもごもありまして◆◇
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
いかがでしたでしょうか?
粘りがあるだの、硬いだの、言葉で言われても
なかなかピンとこなかったかもしれませんが(?)
このように、地金の種類によって
職人は色々とギアチェンジしながら加工に取り組んでいます。
駆け出しの職人は、安価な銅板などで練習しますが
それから少しずつ貴金属の感覚を覚えていくのです。
そういえば昔、ステンレス製の時計のベゼル(枠)に
ダイヤを入れたりしたこともあります。
ステンレスは硬すぎて粘りが無いから
どうもこうも、スムーズに石留めできませんでした。
その硬さのせいで、爪が、めっちゃ丸めにくいんです。
道具(タガネ)の先端が、すぐに欠けてしまうし
「ステンレスは、こりごりや」
というのが本音です。
本当に、貴金属の世界も一筋縄ではいきません。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇◆クロムハーツ専門の職人として◆◇
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ともかく、これからも私石津は、蓄積されたノウハウで
素材に応じた最上級のクロムハーツカスタムをしていきたいと思います。
「レアなアイテムやけど、カスタムできるんかいな?」
などと思案しておられる方は
実績No.1のクロムカスタム工房まで気軽にご相談ください。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【修理&カスタム料金】
※加工内容により料金が異なります。
まずは画像をお送りください。
無料でお見積り致します。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
クロムカスタム工房は
加工件数【4,358件】業界No.1、クオリティーもNo.1です。
◆一級貴金属装身具製作技能士
◆GIA GG(米国宝石学会宝石鑑定士)
両方をあわせ持つ店長の石津が、ご要望にお応えします。
どんなことでも、お気軽にご相談ください。
お問い合わせをお待ちしております。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
2. ホームページ更新情報
クロムハーツ スタッズウォレット クロスパッチカスタム
クロムハーツ メガネ PANTY HO リム補強溶着して修理しました。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
■編集後記
______________________
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
これからも「クロムハーツの修理&カスタム情報」では、
皆さんに役立つ情報を提供できればと思っています。
ご感想・ご意見など、お気軽にご連絡ください。
では、また次回お会いしましょう!!(石津 雅之)
クロムカスタム工房株式会社
代表取締役 石津雅之 (info@kuromu.com)
◆一級貴金属装身具製作技能士◆
◆GIA GG(米国宝石学会宝石鑑定士)◆
546-0041 大阪府大阪市東住吉区桑津5丁目14-1
(TEL) 0120-958-966
______________________
メールマガジン「クロムハーツの修理&カスタム情報」
☆発行責任者:石津雅之
☆公式サイト https://www.kuromu.com/
☆クロムハーツのブログ https://www.kuromu.com/blog/
☆バックナンバー https://goo.gl/MMRTE1
☆メールマガジンの登録、解除 https://www.kuromu.com/blog/archives/7098
☆お問い合わせ info@kuromu.com