バックナンバー第218号
シルバーじゃない!?異素材で作られたクロムハーツ偽物の見分け方《前編》【クロムハーツの修理&カスタム情報】
クロムカスタム工房では、日頃から
皆様のご愛用品を多数お預かりしています。
それらの、ほぼ全てが
正真正銘のクロムハーツです。
しかし、ごくまれに
偽物に出くわしてしまうこともあります。
パッと見は、クロムハーツ風。
クロムハーツをよく知らない人の目には
それらしく見えるのかもしれません。
ですが、普段から本物を見慣れていると
違和感に気付きます。
今回は、その中で
最近、私石津が困惑した
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“異素材で作られたコピー品”
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について、考察したいと思います。
本物と偽物の画像をそれぞれお見せしますので
皆様も、じっくり観察してみてください。
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◇◆クロムハーツ=925◆◇
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正規品のクロムハーツは
主に、次の素材で作られています。
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◆シルバー925
◆18Kホワイトゴールド
◆22Kゴールド
◆プラチナ
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ネット上では相変わらず、
シルバー925と22Kゴールドの人気アイテムを
模したものが散見されます。
そして、これからご紹介するのは
シルバー925“らしく”作られたブレス。
シルバー925は、銀の純度が92.5%で
残りの7.5%は主に銅です。
もちろん、正規品と同じ925を使って
鋳造(ちゅうぞう)された偽物も多いです。
※『鋳造』…溶かした金属を型に流し込み成型する方法
いずれにしても、よくよく見れば
“アラ”を見つけることができます。
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◇◆なんか変◆◇
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先日、あるお客様から届いたのは
1本のフローラルクロス ハートブレス。
それは、なんとなくクロムハーツっぽいのですが
明らかにシルバー925ではありませんでした。
「これは一体…?なんやねん?」
一瞬、考え込みました。
↓まずは、現物の画像をご覧ください。
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【フローラルクロス ハートブレス偽物】
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◇◆異素材とは、なんぞや?◆◇
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ナゾの、銀色の金属。
皆様、何だと思われますか?
単純に、銀の純度を落として
シルバー900(純度90%)とか
シルバー800(純度80%)を使った、
という感じでもないんです。
あれこれ可能性を考えた末、私石津は
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“鉛(なまり)にメッキを施したもの”
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ではないか?と見当を付けました。
あくまで、推測ですが。
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◇◆なぜ、鉛?◆◇
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このコピー品の目立った特徴は
その“硬度”でした。
部分的に少し力を加えてみたところ、
柔らかすぎたんです。
「あぁ、これ、シルバーじゃないな」
と、はっきり分かりました。
鉛は、柔らかく加工しやすい性質のため
『生(なま)り』と呼ばれていて、
それが語源になったくらいです。
その柔らかさ具合からして
おそらく鉛だろう、と判断したわけです。
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◇◆業者の闇◆◇
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鉛は、銀より遥かに安価ですので
都合のよい素材と言えます。
そして、その鉛に、
シルバーのメッキをして一丁上がり~
という感じでしょう。
このシルバーメッキをする際の
密造工房のテクニックについては、
次回の《後編》で暴きたいと思います。
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◇◆強い925◆◇
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ちなみに、銀も本来は柔らかい金属です。
純銀は、とても変形しやすいです。
ですが、シルバー925は
強度を出すために銅を加えてあるので
ある程度の硬さがあるんです。
クロムハーツを加工し慣れている職人なら
その感触は、手が覚えています。
フローラルクロス ハートブレスの本物を
何度もカスタムしたことがありますが
やはり、偽物とは格が違います。
↓先のコピー品と見比べてください。
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【フローラルクロス ハートブレス本物】
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◇◆軽すぎるのもヤバい◆◇
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ところで、件のハートブレスは
その硬度で見抜くことができましたが、
また全く別の素材でできたブレスも過去にありました。
その品は“軽さ”が特徴的でした。
というのも、おそらく
プラスチックか樹脂のようなもの(?)に
シルバー風のメッキ or 塗装をしてあったんです。
本当に、想定外の異素材(笑)
なんにせよ、カスタムも修理も
やりようがないです。
「これは、シルバー925ではないため
クロムカスタム工房では加工できません」
といって、お返しすることになるのは
言うまでもありません。
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◇◆偽物のツッコミどころ・まとめ◆◇
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もちろん、私はこの他にも
偽物には何度も遭遇してきました。
そのクオリティーはピンキリですが…
ここで、コピー品にありがちなポイントを
ざっと挙げてみます。
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【異素材コピー品の特徴】
◆正規品と硬さが異なる
◆正規品と重さが異なる(重厚感がない)
◆正規品と質感が異なる(手触りが変)
【その他コピー品の特徴】
◆正規品より少し小さい(鋳造するため)
◆正規品と刻印の深さが異なる
◆パーツの接合が甘く、スキマが目立つ
◆プレートなどの面が凸凹に波打っている
◆着脱用パーツなどの造りが雑
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巷に流通している偽物すべてに
当てはまるわけではないと思いますが
いくつか思い当たる場合は、要注意です。
鉛のような金属を使用している場合だと
シルバーに近い重みはありますし、
ケース・バイ・ケースで参考にしてみてください。
また、そこそこ丁寧に作られていて
上記の特徴があまり顕著に見受けられない偽物もあります。
それも、ポイントを絞って
じっくり観察するしかありません。
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◇◆職人の腕を見抜く◆◇
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くどいようですが、
異素材の場合は“硬さ”と“重さ”が
やはり重要な手がかりとなります。
そして、ディテール。
通常なら、しっかりロウ付けしてあるところが
偽物は、いい加減なことが多いです。
また、鏡のようにツルッとしているべき面が
ガタガタになっていることも。
雑に鋳造して、テキトーに磨いているから
そうなってしまうんです。
クロムハーツの正規品を製作する職人とは
そもそも基本的なスピリットが異なるということです。
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◇◆違いのわかる人へ◆◇
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クロムハーツの異素材コピー品について
少し理解を深めていただけたでしょうか?
ご紹介した2つの例は、ほんの一部だと思います。
まだまだ、どこぞの密造工房では
他の素材を使った怪しいアクセサリーを
作っているかもしれません。
とにかく、普段から正規品の質感や重みを味わい
覚えることが大事です。
まぁ、本来、クロムハーツは
直営店でお求めになるのが1番であり、
そうすれば、こんな心配も不要なのですが;
では、次回も引き続き
異素材コピー品の裏側について
さらに深掘りした内容でお届けします。
皆様、悪質な偽物には
くれぐれもお気を付け下さい。
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※加工内容により料金が異なります。
まずは、画像をお送りください。
無料で見積り致します。
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クロムカスタム工房は
加工件数【4,073件】業界No.1、クオリティーもNo.1です。
◆一級貴金属装身具製作技能士
◆GIA GG(米国宝石学会宝石鑑定士)
両方をあわせ持つ店長の石津が、ご要望にお応えします。
どんなことでも、お気軽にご相談ください。
お問い合わせをお待ちしております。
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2. ホームページ更新情報
クロムハーツ フローラルクロスリング ダイヤパヴェカスタム
クロムハーツ スキニーバングル タイニーCHクロス修理
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■編集後記
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
これからも「クロムハーツの修理&カスタム情報」では、
皆さんに役立つ情報を提供できればと思っています。
ご感想・ご意見など、お気軽にご連絡ください。
では、また次回お会いしましょう!!(石津 雅之)
クロムカスタム工房株式会社
代表取締役 石津雅之 (info@kuromu.com)
◆一級貴金属装身具製作技能士◆
◆GIA GG(米国宝石学会宝石鑑定士)◆
546-0041 大阪府大阪市東住吉区桑津5丁目14-1
(TEL) 0120-958-966
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