【追悼】クロムハーツIDブレスの生みの親スタンリー・ゲスの名品カスタム解説

“ゲス爺”の愛称でクロムハーツ・ファンから親しまれてきた
天才職人スタンリー・ゲス。
皆様ご存じのとおり、クロムハーツ創成期からブランドを支えた影の立役者です。
そんなゲス爺が、既にこの世を去っていたと
私石津は、最近知りました。
それは2023年3月18日のこと。
享年75歳だったそうです。
もちろん、クロムカスタム工房では
スタンリー・ゲス(STANLEY GUESS)のメンテに関するご相談も度々いただきます。
つい先日も、久しぶりにシルバーパーツの一部をお直ししたばかりでした。
そこで、ふとゲス爺の近況が気になったんです。
「また新作を引っさげて来日する予定はあるんかな?」
そんな風に、思っていました。
しかし、その神の手で作られた新たなシルバーアクセサリーを
我々は、もう見ることができません。
この静かなショックが癒えることはないでしょう。
レジェンド銀職人が残したものは、あまりにも大きいです。
今回は、追悼の意を込めて、スタンリー・ゲスの味わい深い造形美を
改めてお届けしたいと思います。
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◇◆早熟なクラフトマン◆◇
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1947年にLAで生まれたスタンリー・ゲスは
子供の頃から、モノ作りが得意だったといいます。
その才能は、クラフトスクールで磨かれ
レザーアイテムやシルバーアクセサリーとして形になっていきました。
音楽やバイクを愛しつつ、彼にとって工房での時間は、なくてはならないものでした。
30代にさしかかる頃には、レザーとシルバーのオーダー専門店を営んでいたゲス爺。
その腕を見込まれてクロムハーツからスカウトされたとき
彼は快く引き受けたといいます。
まだ、クロムハーツの名前を皆が知らなかった頃、1980年代のことでした。
もう1人の天才職人レナード・カムフォートとはまた異なったテイストの名作を
ゲス爺は次々と誕生させることになります。
2人とも、単にリチャードのイメージを立体化させるのではなく、
職人としてのセンスを発揮しまくり、究極の形を追求していったのです。
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◇◆名作の嵐◆◇
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ゲス爺が考案したアイテムの中でも、特に際立っていたのが“IDブレスレット”です。
↓こちらは、ダイヤを1石カスタムしたものです。
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【フローラルクロスIDブレス クラシックチェーン1ダイヤカスタム】
https://www.kuromu.com/chromehearts-floralcross-idbracelet-dia/
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この重厚感のあるシルバーのプレートに心奪われた方が、今までどれ程いたでしょうか?
プレート部分には着脱用の差し込み金具がスマートにおさまっており
機能性の高さから言っても秀逸です。
IDブレスはクロムハーツ初期の大ヒットとなり
異なるモチーフやチェーンのバリエーションも増えていきました。
ちなみに、IDブレスとともに人気を博したウォレットチェーンも
実は、ゲス爺が生み出したもの。
最初、ゲス爺は自分用にチェーンを作っていたそうですが
リチャード達もそのカッコ良さに惚れ込んだわけです。
↓ここまで重厚で洗練されたチェーンは他にはありませんでした。
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【クラシックリンクウォレットチェーン長さ調整】
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さらに、クロムハーツのメインモチーフであるダガーのフォルムも
ゲス爺が元々オリジナルで作っていたダガーの形をベースに進化させたものなんです。
↓プレート部分にダガーがあしらわれた逸品です。
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【IDダガーブレスレット ダイヤカスタム】
https://www.kuromu.com/chromehears-iddagger-bracelet-dia/
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とにかく、ゲス爺のセンスと技が無ければ、
今のクロムハーツは無かったと言っても過言ではありません。
スタンリー・ゲスは、そうして数々の逸品を世に送り出し
クロムハーツを10年以上、支えました。
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◇◆新たなスタイルを模索◆◇
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その後、ゲス爺は2000年に自身の名を冠した新ブランド
“スタンリー・ゲス(STANLEY GUESS)”
を立ち上げました。
50代での、新たな船出でした。
私石津も、昨年とうとう50の大台に乗ってしまいましたが(汗)
今から全く新しい何かを始める?と想像するだけで、そのパワーの凄さが実感されます。
↓“STANLEY GUESS”の文字をスタイリッシュに彫刻したリングです。
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【スタンリー・ゲス ラージロゴリボンリング ダイヤ&サファイヤカスタム】
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◇◆NO SILVER, NO LIFE◆◇
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ゲス爺はいつもLAの工房に籠って、早朝から晩まで製作に明け暮れていたといいます。
以前のインタビューでは、本人が次の様に語っていました。
「ディナーの途中でも工房に戻り、作業の続きをしてしまうこともしばしば。
自宅の敷地内に工房があるから、シルバーのことが頭から離れることがないんだよ」
おそらく晩年は体調が万全ではなく、
工房で過ごす時間も減っていたのだろうかと思われますが…
その職人魂には、感服します。
↓こちらは、レアなサファイヤカスタムです。
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【スタンリー・ゲス リムドフィリグリーリング サファイヤカスタム】
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リムドフィリグリーリングは、元は中央にシルバーの玉があるデザインです。
◆リムド(rimmed)=“縁どられた”
◆フィリグリー(filigree)=“金・銀の線細工”
その名のごとく、繊細かつ重厚な線の魅力が感じられる1本です。
石留めは、爪を起こすのではなく、伏せ込むようにして固定してあります。
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◇◆凄腕 + 天然の美◆◇
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ブランド設立からゲス爺は、どんどん作品を進化させていきました。
自作のアイテムがヒットしても、それに満足することは決してなかったのでしょう。
そんな中で、私石津が個人的に感銘を受けていたのは
“象嵌(ぞうがん)”のアイテムです。
象は“かたどる”、嵌は“はめる”という意味で、
ある素材に異素材を嵌め込む技法のことをいいます。
次の例は、シルバーに美しいシェルが嵌め込まれたブレスです。
↓紛失されたシェル部分を新しく作りました。
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【スタンリー・ゲス シェルブレスレット修理】
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クロムハーツ時代のIDブレスを彷彿とさせますが
このブレスのフォルムは、そもそもゲス爺が生み出したもの。
そこへ異素材を組み合わせ、唯一無二のスタイルを作り上げていったのです。
ゲス爺は、ボールペン、ホッチキス、ホイッスルなども
シルバーで精密に作りあげてしまう凄腕の持ち主。
だからこそ、象嵌も惚れ惚れする程、完成度が高いのです。
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◇◆銀と木の温もり◆◇
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ラストは、ウッドライターをご紹介して締めたいと思います。
これも、高度な象嵌の技が使われています。
↓シルバーに天然木を嵌め込んであります。
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【スタンリー・ゲス ジッポー ダイヤ&ルビーカスタム】
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「おお、すばらしい」
表側を見た私は、まずそう思いましたが、このジッポーはちょっと事情がありました。
“FOUND TO LATE GIVE TO SOMEONE CAN’T FIX SO SORRY”
裏側には、ゲス爺が手彫りで、このようなメッセージを刻んでいたんです。
製作工程でシルバーに小さな“ス(穴)”が出来てしまい
そのことを詫びているというわけです。
「気付くの遅かった、ゴメン」
…って、ええ?
「ゲス爺も、こういうことあるんやな」
と、私石津は思いました。
ちょっとアバウトなところ(年齢のせい?)も
なんだか憎めないというか、これはこれで、またとない1点もの。
本人のラフな手彫りも、なんかカッコ良く見えてくるから不思議です。
で、この精工かつラフなジッポーを、クロムカスタム工房では
独自のアイデアでカスタムさせていただいたんです。
ダイヤとルビーが入って、洒落っ気がでたと思いませんか?
かなり以前に加工させていただいたものですが、色々と印象深かったカスタムです。
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◇◆至難のメンテ◆◇
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スタンリー・ゲスといえば、この他にもリアルなスカルやスパイダーなど
インパクトのある作品が多々あります。
しかし、シェルや天然木の様な、自然の優美さを取り入れたアイテムは
ゲス爺の感性がより感じられる気がします。
これらの名品を手に入れられた方は、幸運だと思います。
ただ、シェルブレスの例のように、天然素材が使用された部分は完全には再現できません。
全く同じ色合いの貝は、他に無いからです。
クロムカスタム工房では、白蝶貝や黒蝶貝、そして様々な色合いの天然木も
できるだけ近いものをお探し、可能なものは補修させていただきます。
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◇◆愛され続ける作品◆◇
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生前は雑誌の取材等で、ときに家族と団らんする姿も披露していたゲス爺。
リラックスした様子の貴重なプライベートショットからは
いつも、その人柄が伝わってくるようでした。
来日イベントに同行することもあった愛娘のファーン(Ferne Guess)氏は
自身のSNSにて、父亡き後の胸の内を綴っていました。
それは“非常にハードなことだった”といいます。
彼女によると“彼は昨年12月から体調を崩していた”そうで
シェアされた数枚の写真の中には、少し痩せたゲス爺の晩年の姿も見られました。
シルバーの世界に多大なる影響を与えたスタンリー・ゲス。
ゲス爺が手がけた作品は全て、これからも愛され、語り継がれるでしょう。
クロムハーツを好きになったばかりの若い方にも
ぜひ、この天才職人の功績を知っていただきたい、と思います。
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◇◆可能なものは全て対応します◆◇
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クロムカスタム工房では、ご要望がある限り
スタンリー・ゲスのメンテも1つひとつ、柔軟に承ります。
お困りのことがあれば、いつでも私石津までご相談ください。
参考文献:
『大人のシルバー Vol.5』EICHI MOOK
『聖銀辞典4』笠倉出版社
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【修理&カスタム料金】
※加工内容により料金が異なります。
まずは画像をお送りください。
無料でお見積り致します。
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クロムカスタム工房は
加工件数【4,399件】業界No.1、クオリティーもNo.1です。
◆一級貴金属装身具製作技能士
◆GIA GG(米国宝石学会宝石鑑定士)
両方をあわせ持つ店長の石津が、ご要望にお応えします。
どんなことでも、お気軽にご相談ください。
お問い合わせをお待ちしております。
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2. ホームページ更新情報
クロムハーツ スタースタッドピアス 1ブラックダイヤカスタム
https://www.kuromu.com/chromehearts-star-stad-earring-blackdia-custom/
クロムハーツ ラージペーパーチェーン ブレスレット 金具修理
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■編集後記
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
これからも「クロムハーツの修理&カスタム情報」では、
皆さんに役立つ情報を提供できればと思っています。
ご感想・ご意見など、お気軽にご連絡ください。
では、また次回お会いしましょう!!(石津 雅之)
クロムカスタム工房株式会社
代表取締役 石津雅之 (info@kuromu.com)
◆一級貴金属装身具製作技能士◆
◆GIA GG(米国宝石学会宝石鑑定士)◆
546-0041 大阪府大阪市東住吉区桑津5丁目14-1
(TEL) 0120-958-966
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