外す方が100倍難しい!クロムハーツ・ジーンズのパーツ移植カスタム最新裏事情2022
クロムハーツのボトムスには
シルバー製のパーツが付いています。
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◆フロントボタン
◆リベット(ポケットの隅の鋲(びょう))
◆エンブレム
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主にこの3種です。
これらを移植カスタムするには
相変わらず、苦心しています。
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“AとB、2本のボトムスをお預かりして
AのパーツをBへ付け替える”
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言ってしまえば、それだけのことなんですが。
まぁ、リベットとエンブレムはシンプルです。
ニッパーでササッと外し、
裏面のパーツを加工してから、カシメるだけ。
問題は、フロントボタンです。
フロントボタンは、とにかく外しにくい。
というか、外れない!!
移植元のジーンズからパーツを外す工程が
1番の山なんです。
実は2年ほど前に、このメルマガで
その特殊な“外し方”を
解説させていただいたことがあります。
しかし、試行錯誤の末、最近は
その頃とは別の方法をとるようになったんです。
今回は、このフロントボタンの
“最新マル秘ノウハウ”を改めてお届けしたいと思います。
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◇◆記憶をたどって◆◇
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皆様、覚えておられるでしょうか?
以前にご紹介した
フロントボタンの外し方を。
私石津は、歳を重ねるごとに
忘却力に磨きがかかっておりますが、
覚えております(当たり前!)。
↓まずは当時の加工例をご覧ください。
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【CHジーンズ パーツ移植例1】
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(フロントボタン加工中の画像が無く申し訳ありません。
集中しているときは撮影するのを忘れがちです;)
そもそも、フロントボタンが
なんで外れにくいか?といいますと
“ネジ式”だからです。
しかも、ネジはネジでも“異素材ネジ”。
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◆【メス】モチーフ側=シルバー製
◆【オス】裏側=真鍮(しんちゅう)製
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※オスは真鍮にニッケルメッキ
となっており、やや硬めの真鍮に、
柔らかいシルバーが食い込み気味なんです。
とにかく、シルバーパーツは無傷のままで
パンツから分離しなければなりません。
そこで、当時クロムカスタム工房では
「これは、オネジを削るしかないがな」
と判断し、ドリルでギュルギュルやっていました。
細いドリルでオネジの中心に穴を掘っていき、
残骸は、地道に剥がす(はがす)。
正直、ものすごい労力でした。
もちろん、真鍮パーツはバラバラになってしまいます。
それは新しいものに交換すればOKなんですが
ちょっと、もったいない感じでした。
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◇◆新しい試み◆◇
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「これでは、時間も手間もかかり過ぎるし
もうちょい、ええ方法はないんかい?」
と考えた末、どうしたと思われますか?
答えは“火を入れてみた”です。
案外、熱を加えたら外しやすくなって、
わざわざ分解する必要もなくなるかも?
と思い、試してみたんです。
直感です。
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◇◆なぜ火を入れる?◆◇
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先程書いたように“異素材であること”が
ネジをガチガチにしている主因です。
ですが、実は、それだけではなかったんです。
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【ネジが外れにくい理由】
1.硬い真鍮オス&柔らかい銀メスである
2.ピッチが微妙に合っていない
3.オスとメスの間に接着剤がつけてある
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そうなんです。
2と3も、無視できないことに気付いたんです。
ピッチというのは、ネジの谷と山の間隔のこと。
いつも、ほんの少しだけ
谷と山が合っていないんです。
これは、もう仕方ありません。
そして、オスとメスの間には
たいがい接着剤が付けてあります。
この接着剤を、熱で溶かすことで
いくらか外れやすくなるだろうと踏んだのです。
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◇◆ちょっとデンジャラス?◆◇
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熱を加えると、狙い通り、接着剤は溶けました。
それに、ネジ自体も少し柔らかくなります。
そうすると、ネジが回って
なんとか外れるようになりました(喜)。
…なんで最初から、そうしなかったのか?
それは、イメージしてみてください。
火を入れるのは、Gパン等のボトムスに
付いた状態のパーツです。
つまり、1歩間違えば
ジーンズの生地が燃えてしまう可能性も
ゼロではないということです。
それは、さすがにヤバい(汗)
しかし、熱を加えることで、
あのドリルの苦難を乗り越えられる。
一工夫をして、熱を加える方を選びました。
↓この方法でカスタムした例をご覧ください。
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【CHジーンズ パーツ移植例2】
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
(火を入れる瞬間は撮影できないので;
ビフォー&アフターのみの画像です)
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◇◆1発勝負で◆◇
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とにかく、熱を加えるなら、
なんらかの方法で布地を守ることが重要です。
そこで、登場するのが“セーム革”。
セーム革は、鹿革を油で“なめした”ものです。
それを、移植元のボタンの回りにあてて
デニム生地をカバーするんです。
そうしてから、ボタン部分を熱します。
養生しているとはいえ、
その瞬間は正直、緊張します。
でも、これで上手くいくようになったので
オスの真鍮パーツも再利用できることになりました。
無事に外したシルバーパーツは
全体を磨いて、ネジ山の微調整もしておきます。
ネジ山は“ネジ切”という道具で削るのですが
それで取り付けもスムーズにいくのです。
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◇◆お手元に1枚◆◇
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ちなみに、セーム革というのは
ジュエリーや時計を拭くのに最適な素材だと言われています。
超極細の繊維で、汚れや水分、油分まで
きれいに拭き取ることができるんです。
シルバーも、このセーム革を使うと
ツヤが出ます。
しなやかで、手触りも柔らかいため
クロムハーツのお手入れにオススメです。
興味のある方は、ECサイトやホームセンターで
ご覧になってみてください。
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◇◆常に研究◆◇
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このパーツ移植、結構ハードな裏の苦労があると
少しご理解いただけましたでしょうか?
やはり、パーツを付けるよりも
外す方が、遥かに困難なんです。
おそらく、この難儀なフロントボタンは
他の工房では対応されていないのではないでしょうか?
クロムカスタム工房はクロムハーツに関する
様々なノウハウがあります。
ですが、ご紹介したように
まだまだ試行錯誤をしているものもあります。
「これの裏側こんな風になってんのか?」
「これは昔のモデルと造りが変わった?」
等々、今でも時々は壁にブチ当たりますが
それもカスタム屋の宿命。
クロムハーツは色々と特殊でありますので
それに合わせて、これからも最善を尽くします。
アクセサリー以外のカスタムをお考えの方も
ぜひ、クロムカスタム工房へご相談ください。
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※加工内容により料金が異なります。
まずは、画像をお送りください。
無料で見積り致します。
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クロムカスタム工房は
加工件数【4,073件】業界No.1、クオリティーもNo.1です。
◆一級貴金属装身具製作技能士
◆GIA GG(米国宝石学会宝石鑑定士)
両方をあわせ持つ店長の石津が、ご要望にお応えします。
どんなことでも、お気軽にご相談ください。
お問い合わせをお待ちしております。
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2. ホームページ更新情報
クロムハーツ ハートペンダント 革紐修理
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■編集後記
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
これからも「クロムハーツの修理&カスタム情報」では、
皆さんに役立つ情報を提供できればと思っています。
ご感想・ご意見など、お気軽にご連絡ください。
では、また次回お会いしましょう!!(石津 雅之)
クロムカスタム工房株式会社
代表取締役 石津雅之 (info@kuromu.com)
◆一級貴金属装身具製作技能士◆
◆GIA GG(米国宝石学会宝石鑑定士)◆
546-0041 大阪府大阪市東住吉区桑津5丁目14-1
(TEL) 0120-958-966
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