ジーンズ・カスタムの壁をクリアした技とは?至極の1本誕生秘話
クロムハーツのジーンズには
“こだわり”が詰まっています。
それゆえ、アクセサリーと同じく
加工が容易でないケースも多々あります。
最近、オーダーいただいたお品も
ある工程で、やや難儀しました。
今回は、その裏話をご紹介したいと思います。
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◇◆布の寿命が来たら◆◇
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「正規品から、他ブランドのものへ
ボタンやエンブレムを全て移植してほしい」
というご要望で、
クロムカスタム工房に届いた2本のジーンズ。
いずれも、ブラック・デニムです。
当社では、ボタン付け替えの実績も
多数ありますので…
「これは、朝飯前やな」
と、言いたいところでしたが
乗り越えなければいけないハードルが1つありました。
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◇◆要のパーツ◆◇
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それは、ずばり“フロントボタン”
フロントの開閉部分に付いているボタンです。
世の中のジーンズの大半には
ジッパー(ファスナー)が使われています。
一方、クロムハーツはボタン仕様なんです。
それぞれ『ジッパーフライ』『ボタンフライ』といいます。
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◇◆フライとは、なんぞや◆◇
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ちなみに『フライ』は『揚げ物(fry)』のことではありません。
『比翼(ひよく/fly)』の方です。
ジーパンの開閉部分は、布地が二重合わせで
表からジッパーやボタンが見えないようになっています。
それを “比翼仕立て”と呼びます。
そして、クロムハーツといえば、ボタンフライ。
引き手がダガーのジッパーもありますが、
大半はクラシックなボタンフライです。
↓まずは、実際の画像をご覧ください。
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【CH ジーンズ パーツ移植カスタム例】
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◇◆意外な?壁◆◇
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さて、ようやく本題です。
何が困難かといいますと
このボタンパーツを“はずす”工程です。
フロントボタンの
モチーフ部分(メス)側はシルバー製。
一方、その裏側のパーツ(オス)は真鍮製。
この2つは、カシメてあるのではなく、
ネジで留まっているんです。
このネジが、なんとも頑固な野郎なんです。
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◇◆鬼門のネジ◆◇
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カシメならば、ニッパーで切って
また新しいパーツ付け直すだけです。
しかし、ネジ式の場合は、再利用するので
ネジ部の凸凹を潰してはなりません。
にも関わらず…ドライバーで外そうとしても
まったく動きません。
そうです、このネジの問題は
オスとメスが“異素材”ということ。
やや硬めの真鍮に、柔らかいシルバーが
ガッチガチに、食い込んでいるんです。
腕力が足りないという問題ではないんです。
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◇◆結論◆◇
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というわけで、表のシルバーモチーフを
無傷のまま外すのは、かなりの手間がかかります。
結局どうするのか?というと…
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\オスのネジをドリルで削るんです!/
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それしか道はありません。
なんせ、ガッチガチなもんで…。
必要なのは、ネジ部の直径より少し細めのドリル。
中心を削り、残った部分は
ゆっくり剥がすように取っていきます。
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◇◆さらば、真鍮ネジ◆◇
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というわけで、最終的に
オスの真鍮パーツはバラバラになります。
オスには、ロゴも何も入っていないので
新しいパーツに交換すれば問題ありません。
“ボタンをはずす”
たった、それだけのことですが;
カスタム屋の苦悩と工夫を
少し、お分かりいただけたでしょうか?
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◇◆あと一息◆◇
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さらに、移植先のジーンズも、元のボタンを外します。
こちらは、すべて
ニッパーでパチッと切断していきます。
ボタンを取った後の生地は、穴が目立ち
新たなパーツを固定できる状態ではありません。
タフなデニムといえども、布は布。
ですので、比翼の内側の生地は
新しいものにリフォームします。
そうして、フロントボタンの壁を超えれば
残すは、ポケットのリベットやエンブレム。
これらを、1つずつカシメて、ようやく完成です。
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◇◆変わらないもの◆◇
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ジーンズの原型は1870年代に生まれました。
その当時は、生地が縮むのを考慮し
皆、ボタンフライだったそうです。
いま、進化したクロムハーツのジーンズは
洗練されながらも、深い味わいがあります。
それは帝王が“長く愛用できるものを作る”
というポリシーを大事にしているからに他なりません。
クロムカスタム工房は、
お客様のクロムハーツ・ヒストリーを支える
工房でありたいと思います。
シルバーパーツのみならず、
クロスパッチのカスタム等も柔軟に承ります。
前例の無いことも
ぜひ、私石津にご相談ください。
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【ジーンズ カスタム料金】
≪パーツ付け替えカスタム≫
フロントボタン、リベット、エンブレム
…50,000円(税抜)~
※加工内容により料金が異なります。
まずは、画像をお送りください。
無料で見積り致します。
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クロムカスタム工房は
加工件数【3,907件】業界No.1、クオリティーもNo.1です。
◆一級貴金属装身具製作技能士
◆GIA GG(米国宝石学会宝石鑑定士)
両方をあわせ持つ店長の石津が、ご要望にお応えします。
どんなことでも、お気軽にご相談ください。
お問い合わせをお待ちしております。
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2. ホームページ更新情報
クロムハーツ ローリークロスチャーム ダイヤ
クロムハーツ Wベルトループ クロスボタン ブラックレザー 革交換
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■編集後記
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
これからも「クロムハーツの修理&カスタム情報」では、
皆さんに役立つ情報を提供できればと思っています。
ご感想・ご意見など、お気軽にご連絡ください。
では、また次回お会いしましょう!!(石津 雅之)
クロムカスタム工房株式会社
代表取締役 石津雅之 (info@kuromu.com)
◆一級貴金属装身具製作技能士◆
◆GIA GG(米国宝石学会宝石鑑定士)◆
546-0041 大阪府大阪市東住吉区桑津5丁目14-1
(TEL) 0120-958-966
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