第233号
各サイズのバネが劇的に耐久性UP!クロムハーツのクリップ修理ポイント総まとめ
キーリング、クイッククリップ、ウォレットチェーン、
ブレスレット、ネックレスetc.
皆様は、いずれかのアイテムをご愛用されていますか?
これらに共通するのは
“ねじりバネ”を内蔵した金具が使われているということ。
※ブレスやペンダント用のチェーンは
“クラスプ(差し込み式)”の留め具もありますが
それ以外は、ねじりバネ入りパーツです。
ねじりバネは金属の丸線をらせん状に巻いたもので
クロムカスタム工房では、そのバネ交換のご相談を非常に多くいただきます。
オーダーされるアイテムは多岐にわたり
それぞれに様々な大きさのバネが仕込まれています。
私石津は、クロムハーツのバネについて
これまでにも、あれこれと言及してきました。
1番の問題は“耐久性”。
クロムハーツのバネは鉄製のため、持ちが良くないのです。
今回は、経年劣化したバネを画像で確認しながら
改めてクロムハーツのバネ問題を総括してみたいと思います。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇◆いつの間にか◆◇
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
まずは、じっくりご覧いただきたい
キーリングが2本あります。
1つ目は、ファンシーチェーンのキーリング。
元のバネは、完全にサビて茶色くなっています。
↓正規品のサビたバネ(3~4枚目)
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【キーリング ショート ファンシーチェーン2リンク バネ修理】
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「え?こんなにサビるもん?」
と、意外に思われたでしょうか?
初めて見る方には、ちょっと衝撃的だったかもしれません;
使い方や使用環境にもよりますが
クロムハーツのバネは、いずれこうなってしまいます。
続いては、同様のバネ交換をしたクラシックチェーンのキーリング。
クロムカスタム工房オリジナルの
サビにくいバネを組み込む工程を公開しています。
↓クリップの断面にご注目ください。(4~5枚目)
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【キーリング ショート クラシックチェーン2リンク バネ修理】
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
バネの素材に関しては企業秘密のためお伝えできませんが
タフなバネに一新されていく流れはご理解いただけると思います。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇◆グレードアップ再現◆◇
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ところで、おもっきりサビたバネを公開した後に言うのもなんですが
そもそも鉄は硬くて、強いものです。
サビていないならば、高い強度があるのです。
ということですから、クロムハーツは
“数年後に、メンテしてくれよ”
という前提で鉄製のバネを使っているのでしょう。
しかし、ヘビーに日常使いするものは
鉄の弱点であるサビの影響がでやすいです。
例えば次の様な、ヘアクリップ。
↓バネと芯棒も作り直しました。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【クロムハーツ ヘアクリップ バネ修理】
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
これは、ネジが剥き出しになっている分
より空気中の湿気の影響を受けやすかったのかもしれません。
ヘアクリップのお直しは結構めずらしいですが
クロムカスタム工房では、このように
元のバネと同じ径&同じ巻き数でお作りします。
そして、ねじりバネは、アームの角度も大事。
※“アーム”=バネ両端の直線部分
仕上がりの動作がスムーズになるよう
アイテムに合わせて微調整します。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇◆鉄=鋼?◆◇
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ちなみに、クロムハーツのバネは“鉄製”だと繰り返し申しておりますが
実は、これは正確には“鋼(はがね)”です。
「鉄と鋼って、同じようなモンやろ?」
↑おそらく、一般的にはこういうイメージかと思うので
今まで、ざっくり“鉄”と表現してきたのですが…
~~~~~~~~~~~~~~~~
“鋼”=“鉄に炭素を加えた合金”
~~~~~~~~~~~~~~~~
というのが正解なんです。
鋼には、だいたい0.02~2%くらい炭素が添加されています。
まぁ、ほぼほぼ、鉄ですが(笑)
しかし、ほんの少し炭素が含まれることで
鉄よりも粘り強さがでて、より強く、加工しやすくなるんです。
逆に言うと、ピュア過ぎる鉄はバネの材料としては向いていません。
HP等でも度々“鉄製”と書いておりましたが
若干の誤解をまねく表現だったことをお詫びします。
伝わりやすさを考慮しての言葉であることをご理解ください。
ただ、どちらもサビやすいのが最大の短所であることに変わりはありません。
鉄は酸素と非常に結びつきやすい性質を持つため
数年でサビてしまうのです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇◆小さくてもタフ◆◇
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
鉄トークが長くなりましたが
次は、極小のバネをご覧に入れます。
ネックレスに使われるチェーンの留め具は
クリップを小さくしたようなイメージですが
構造は少し異なります。
これは、よく見るとカニの爪に似た形をしており
“カニカン”と呼ばれています。
↓おそらくクロムハーツで最も小さなバネです。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【ロールチェーン 留め具のバネ修理】
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
↓こちらは形状の異なるカニカンです。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【NEチェーン 留め具のバネ修理】
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
小さい分、繊細ではありますが
サビにくさは大きなバネと同様です。
元のバネよりは、はるかに長持ちするでしょう。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇◆ Keep dry ◆◇
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
大小様々なバネをざっとご紹介しましたが
鋼のバネが朽ちていく現実をリアルに感じていただけたでしょうか?
クロムカスタム工房で1からお作りするバネは
鋼よりサビにくい素材を使っています。
しかし、金属である以上
まったく侵食されないというわけではありません。
ご愛用品を水で濡らしてしまったりした際は
やわらかい布で拭き、できるだけ速やかに乾燥させてください。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇◆個性豊かな?クリップ・パーツ◆◇
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ラストに、少しだけパーツの構造の話をして
シメたいと思います。
クロムハーツのクリップ類は
製造時期により内部の構造が異なります。
それは、分解した際に分かります。
私石津もクロムハーツ一筋といえど
さすがに○~○年製はこう!と、明確には把握しておりません。
というか、おそらく同じ頃に作られたものでも
全てが同じではないのです。
微妙な違いも入れると、10種類以上(多っ!)
どういう経緯でマイナーチェンジされているのかは謎です。
ただ、膨大な数のバネ交換をしてきた経験から
“どのタイプであっても修理は可能です”
ということは、お伝えしたいと思います。
↓その他のクロムハーツ定番バネ交換例です。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【クイッククリップ バネ修理】
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【スイヴェルクリップ キーホルダー バネ修理】
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【ファンシーダブルクリップ ウォレットチェーン バネ修理】
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【ファンシーリンクブレスレット バネ修理】
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「あれ、なんか開閉が上手くできない」
など、バネ系の問題でお悩みの方は
いつでもクロムカスタム工房まで気軽にご相談ください。
クロムハーツの加工件数No.1の
蓄積されたノウハウで、柔軟に対応致します。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【修理&カスタム料金】
<バネ交換>
…20,000円(税抜)~
※加工内容により料金が異なります。
まずは画像をお送りください。
無料でお見積り致します。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
クロムカスタム工房は
加工件数【4,268件】業界No.1、クオリティーもNo.1です。
◆一級貴金属装身具製作技能士
◆GIA GG(米国宝石学会宝石鑑定士)
両方をあわせ持つ店長の石津が、ご要望にお応えします。
どんなことでも、お気軽にご相談ください。
お問い合わせをお待ちしております。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
2. ホームページ更新情報
クロムハーツ タイニークラシックオーバルクロス ループタイの革紐交換
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
■編集後記
______________________
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
これからも「クロムハーツの修理&カスタム情報」では、
皆さんに役立つ情報を提供できればと思っています。
ご感想・ご意見など、お気軽にご連絡ください。
では、また次回お会いしましょう!!(石津 雅之)
クロムカスタム工房株式会社
代表取締役 石津雅之 (info@kuromu.com)
◆一級貴金属装身具製作技能士◆
◆GIA GG(米国宝石学会宝石鑑定士)◆
546-0041 大阪府大阪市東住吉区桑津5丁目14-1
(TEL) 0120-958-966
______________________
メールマガジン「クロムハーツの修理&カスタム情報」
☆発行責任者:石津雅之
☆公式サイト https://www.kuromu.com/
☆バックナンバー https://goo.gl/MMRTE1
☆メールマガジンの登録、解除 https://www.kuromu.com/blog/archives/7098
☆お問い合わせ info@kuromu.com